栄和堂ブログ

鎌倉の端っこにあった書店「栄和堂」僕らはここを「ブックスペース」として本屋の再発明をしていきます。公式HP http://eiwado.space/

深沢という地で

「ブックスペース栄和堂」は鎌倉の深沢地区にある。住所でいうと鎌倉市常盤60番地ということになります。常盤という字名も常盤御前にちなんでかどうかはわかりませんがなかなかいい名前ですよね。深沢地区の他の字名も、手広、笛田、梶原、寺分、上町屋、山崎、鎌倉山といったように味わい深いものが多い。やはり、新興住宅街にある軽い名前とは違います。

深沢地域がどんなところかはWikipediaで調べることもできるので詳しくはそれを読んでもらうこととして、ぼくの視点で紹介していこうと思います。実は今「洲崎・陣出の杜の会」というところで深沢の街づくりの活動を行っています。直接のきっかけはモノレール湘南深沢駅の西側にあるJR東日本の大船工場跡地の土地利用計画に対する見直し陳情という形でスタートしています。

もうずいぶん前に計画はできていたのですが、それは大型商業施設、高層マンション、大学といったものを誘致するという全国どこにでもありそうなハコモノ主体の都市計画です。これではいったいだれのための都市計画なのでしょうか。しかも、この土地は戦時中横須賀海軍工廠のために強制的に接収されたもので、その後国鉄に引き継がれたという経緯があり、地元の人々にとっては自分たちの土地を勝手に使いまわされているという思いが強かったのです。ですから、工場が去った今からはわれわれの意を十分に汲んだ計画にしてほしいのです。


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そして、うれしいことに昨年末に鎌倉市議会に提出していた陳情が採択されて見直しが決定したのです。そこでわれわれは具体的な提言をしているのですが、それらを考えるときにどうしても単に土地利用をどうするのかという問題ではなく、深沢という街づくりというアプローチが必要となってくるわけです。つまり、深沢らしさって何だろう、どういう街だと暮らしやすいといえるのだろうかといった議論になってきます。

このブログの最初に、「地元」のひとたちに出会える場所でありたい、「地元」のことをもっと知りたい、「地域活性化」につなげたいといったニーズがあることが書いてありますが、この地域のいまの良さを、またこれからどんな街にしたいのかを語れるようになりたいと思うのです。そうなんですね、「いい街」というのは、そこで暮らしている人がこんな素晴らしい街だと自慢気に語れるものでなければいけません。

よそから来た人に「歴史的な建物がいっぱいあって、また美味しい物も食べられて、景色もよくて楽しめる街ですね」と言われる街がほしいのでしょうか。幸か不幸か深沢地区は観光客もあまりこないし、しゃれたレストランもありませんが、それが故に、そこに暮らしている人、これからそこに住もうとしている人たちがほんとうに快適に生活できる街にできるのではないでしょうか。そういう街の一画に「栄和堂」がちょっぴり存在感を持って佇んでいることを夢見ています。