栄和堂ブログ

鎌倉の端っこにあった書店「栄和堂」僕らはここを「ブックスペース」として本屋の再発明をしていきます。公式HP http://eiwado.space/

弟が思う本屋の再発明

弟の淳也です。

既に兄と父が記載している通り、鎌倉の端の小さな元書店「栄和堂」をベースに「本屋の再発明」をしていこうというプロジェクトが発足しました。そのプロジェクトリーダーは、一応、弟の僕が行います。兄は色々と忙しいし、親父よりは若い淳也がリーダーの方が良いんじゃね?ってことで就任しました。

今週から、栄和堂に机と椅子を置いて1人でしこしこと仕事をしています。本棚に囲まれたがらんどうの元書店で、変な兄ちゃんが1人でパソコン睨んでいる様子は珍しいのか、通行人からめちゃくちゃ見られます。そういう時は僕も通行人を見ます。お互いガラス越しに見つめ合いながらのノンバーバルなコミュニケーションは、なかなか面白い体験です。 もしご近所の方がこのブログ読んでくれて、僕を発見したら是非入ってきてください。ドアは手動で開きます。


このプロジェクトが目指すのは「本屋の再発明」です。それを叶えるコンセプトは(今のところ)「本棚に囲まれたコーヒースタンド併設の憩いのスペース」ですが、夜の部も設ける予定です。

つまりお酒を出します。夜の部は「本棚に囲まれたバー併設の憩いのスペース」になります。実のところ、僕はこの「バー」の方に思い入れがあります。

銀座に「もんじゅ〜る」という30年以上続いている老舗のバーがありました。そこに僕は20歳から親父に連れられて通っていました。そのバーはとにかく雰囲気が良く、そこに親父と行けば、カウンター越しにマスターやママ、そして横で飲んでいる誰かと話が出来る。20代の若者を相手にしても、不思議と説教臭くないお話をしてくれる方々ばかりで、リラックスした時間が過ごせるのです。人事の話しかしない会社の飲み会とは明らかに違う空間でした。

「ああこれが大人ってやつか」と淳也青年は思いました。そして、大人ぶって他のバーにも行ってみるようになりましたが、なぜか「もんじゅ〜る」のような居心地の良さは感じられませんでした。他のバーは「自分に酔う場所」のように感じたのです。そのような場所は東京には無数にあります。でも、もんじゅ〜るで感じる「人と繋がれる雰囲気」とか「リラックスできる雰囲気」を感じられる場所をついに見つけられませんでした。

そんな折、もんじゅ〜るは今年の3月末に閉店してしまいました。この栄和堂をどんな場所にしようかと兄や親父と話しているとき、自然に思い浮かんだのがこのバーでした。


僕が思う本屋の再発明は、場所性、(歴史も含めた)時間性、そして偶然性を最大限活かすことです。

インターネットは時空を超えますが、リアルな場所は時空を超えません。ただその限定性ゆえの魅力(言うなればダウンロード出来ない価値)は必ずあるはずです。その魅力を人々は絶対に認めている。その魅力を「再発明」する取り組みです。

だから「本を売る書店」ではなく、「ブックスペース」であり、「1人でモクモク」ではなく、「みんなでワイワイ」であり、「建て替える」のではなく、「栄和堂という場所や名前、そして本棚を残す」というコンセプトなのです。


とはいえ、反インターネット!や電子書籍反対!というような思想は持ってません。だって電子書籍、超便利ですもんね。それぞれの価値を認めつつ、でも本屋ってまだまだ良い所あるよ!例えばこんな感じ!というところを表現できればいいなと思います。Webとの連携も面白そうですし。

ということで、弟でした。今後はプロジェクトの進捗を中心に記載していきますね。